ドラクエが切り開いた「物語RPG」という新ジャンル
1986年、ファミコンで発売された『ドラゴンクエスト』。
この作品は、日本のゲーム文化における“革命”でした。
いや、世界のゲーム文化の革命だったともいえるかもしれません。
当時、RPG(ロールプレイングゲーム)といえば、アメリカの『ウィザードリィ』や『ウルティマ』などが主流で、パソコン向けの難解なゲームが多く、「日本人には難しい」とまで言われていた時代です。
そこに登場したのが『ドラクエ』。
シンプルな操作、温かみのあるキャラ、そして心を動かす“物語”で、RPGを一気に大衆化しました。
そしてだれもがゲーム内で主役になれる・・・そんな世界観が日本だけではなく世界で愛されるゲームになり、そしてそれが今のゲームの世界のスタンダードになっています。
💬 堀井雄二氏の言葉
「誰もが遊べるRPGを作りたかった。それがドラクエの出発点でした。」
ドラクエ以前と以後で変わった「RPGの常識」
ドラクエ以前のRPGは、
複雑なコマンド入力
無機質なグラフィック
難しい英語表記
といった“ゲーマー向け”の作品が中心でした。
しかし、ドラクエが導入したのは、
「話す」「調べる」などの直感的なコマンド
町の人との会話によるヒント
シナリオで導かれる明確な目的
つまり、「プレイヤーが物語の主人公になれるRPG」でした。
これはすごい画期的なことだったんですよね。
ゲームの中で自分も生きている感覚になれて楽しかったです。
この“物語重視”の流れが、後の日本RPG(JRPG)の基本スタイルを形づくったのです。
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ドラクエが日本に広めた「家庭用RPG文化」
1980年代後半から90年代にかけて、ドラクエは国民的ゲームへと成長しました。
『ドラクエIII』では発売日に行列ができ、学校を休む子が続出。
ニュースになるほどの社会現象となりました。
ゲームごときで学校休むって・・・ってびっくりしましたが、ゲームに関する社会現象は今もニュースがにぎわいますからね。
それもゲームの歴史の一つなのかなって思います。
| 発売年 | タイトル | 主な特徴 | 社会的インパクト | 
|---|---|---|---|
| 1986年 | ドラクエI | 家庭用RPGの誕生 | 初の物語型RPGとして注目 | 
| 1988年 | ドラクエIII | 転職システム導入 | 社会現象化、行列報道 | 
| 1992年 | ドラクエV | 親子三代の物語 | 感動の物語として名作に | 
| 2009年 | ドラクエIX | すれ違い通信 | 社会的ブーム、ギネス登録 | 
| 2017年 | ドラクエXI | 過去最高の完成度 | 国内外で高評価、文化遺産級 | 
🏆 ドラクエシリーズは、世界累計販売本数8,800万本を突破(2024年時点)。
ギネス・ワールド・レコーズにも登録されています。
世界に広がった“物語RPG”の原点
ドラクエの革新は、日本国内だけにとどまりませんでした。
1990年代以降、海外でも翻訳版が登場し、“DRAGON QUEST”という名前で世界中に広がります。
当時、海外のRPGは戦闘重視のハードコアゲームが多かったため、
ドラクエの「心温まるストーリー」「仲間との冒険」「成長の実感」は新鮮に映りました。
🎮 海外ゲーム開発者の声
「ドラクエIIIの職業システムと自由度は、私たちがRPGを作るうえでの指針になった。」
― 北米RPG開発者インタビューより
この“ドラクエ的RPG体験”が、のちの『ファイナルファンタジー』『ポケモン』『ペルソナ』など、日本発の世界的ヒット作品に受け継がれていきました。
ドラクエが築いた「JRPGの黄金フォーマット」
ドラクエが作った仕組みは、今でも多くのRPGの基礎になっています。
コマンド式の戦闘システム
成長・転職による自由なキャラ育成
章ごとの物語構成
個性豊かな仲間キャラクター
ドラマ性と音楽の融合
このフォーマットは、まさに**“日本RPGのDNA”**。
堀井雄二、鳥山明、すぎやまこういち――この3人のチームが作り出した形は、今も世界中で愛され続けています。
🎵 すぎやまこういち氏の音楽が奏でる“冒険の高揚感”は、ドラクエを超えてRPG文化そのものを象徴する存在になりました。
ドラクエの進化とこれから
現在開発中の『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』では、堀井雄二氏が「暗い物語になる」と語っており、これまでとは異なるテーマ性が注目されています。
キャラクターデザインを担当していた鳥山明さんの訃報も、多くのファンに衝撃を与えましたが、彼の描いたキャラクターたちは今も世界中のプレイヤーの心に生きています。
ドラクエは、ただのゲームではなく、「希望」や「勇気」を届ける文化的遺産となりました。
日本RPGの歴史を変え、そして世界に“物語RPG”という新しい価値を広めた功績は、これからも語り継がれていくでしょう。
まとめ|ドラクエが残した“文化”としての功績
ドラゴンクエストは、
「日本人でも楽しめるRPGを作りたい」という想いから生まれ、
やがて日本のゲーム文化を変え、世界のゲーム業界をも動かしました。
物語・音楽・デザイン、すべてが融合した“日本型RPG”の原点。
それこそが、ドラクエが残した最大の遺産です。
💡 ドラクエは、世界に「RPGは心で遊ぶものだ」と教えてくれた。
👉 ドラクエ歴代シリーズ徹底比較!評価が高い神作と不評作まとめ