注目のダブル主演!吉沢亮×横浜流星が描く歌舞伎の世界
2025年に全国公開予定の映画『国宝』は、吉沢亮さんと横浜流星さんのダブル主演で贈る、壮大な歌舞伎ドラマです。吉田修一の同名小説を原作とし、李相日監督が映像化。
カンヌ国際映画祭監督週間にも選出された本作は、戦後の上方歌舞伎を舞台に、二人の天才役者の友情と対立、そして芸術への情熱を描いた作品として、公開前から大きな話題を呼んでいます。
歌舞伎という伝統芸能の世界を舞台に、二人の俳優がどのような化学反応を見せるのか。そして、彼らの少年時代を演じる子役たちの演技にも注目が集まっています。
吉田修一原作『国宝』のストーリーと二人の主人公

原作となる吉田修一の小説『国宝』は、2019年に発表され、第163回直木賞候補作となった話題作。
『パレード』『怒り』など数々のヒット作で知られる吉田修一ならではの繊細な人間描写と、歌舞伎という特殊な世界観が高く評価されました。
物語は戦後の混乱期から高度経済成長期にかけての日本を背景に、上方歌舞伎の世界で生きる二人の若者の人生を追います。立花喜久雄(吉沢亮)と鳴海俊介(横浜流星)は幼なじみでありながら、全く異なる境遇から歌舞伎の道に入り、やがて一人は女形として、もう一人は立役として頂点を極めていくという運命をたどります。
李相日監督は「原作の持つ二人の関係性の複雑さと、彼らが生きた時代の躍動感を、映像で表現したかった」と語っています。
吉沢亮が演じる女形・立花喜久雄の美学

吉沢亮さんが演じる立花喜久雄は、任侠の家に生まれ、複雑な運命を経て上方歌舞伎の世界に身を投じる青年です。
彼は女形として類まれな才能を開花させ、やがて「国宝」と呼ばれるほどの名優へと成長していきます。
本作のために吉沢亮さんは、8か月にわたる徹底した歌舞伎の稽古を積み重ねました。
所作の美しさはもちろん、発声法や扇子の使い方まで、プロの歌舞伎役者から直々に指導を受けたといいます。
「女形を演じるのは初めての経験で、最初は戸惑いましたが、喜久雄という人物の内面を理解するにつれ、彼の芸に対する執念や美意識が自分の中に染み込んできました」と吉沢さんは撮影を振り返ります。
特に見どころは、大劇場での歌舞伎シーン。
吉沢亮さんの艶やかな女形姿と、声色の変化、しなやかな動きは、多くの観客を魅了することでしょう。
横浜流星が挑む立役・鳴海俊介の魂と情熱
一方、横浜流星さんが演じる鳴海俊介は、歌舞伎名家に生まれながらも、その重圧と闘いながら自分の芸を確立していく立役(男性役)です。
喜久雄とは対照的な境遇と性格を持ちながらも、芸への純粋な情熱では共鳴し合う複雑な関係性を持っています。
横浜流星さんは本作のために、立役特有の力強い演技や発声法を徹底的に学び、肉体改造にも挑戦。
「俊介の持つ気品と激しさの両面を表現するために、体の使い方から見直しました」と語ります。
特に印象的なのは、激しい立ち回りのシーンや、感情の爆発する場面での横浜さんの演技力。繊細な表情の変化と大胆な身体表現のコントラストが、観る者の心を揺さぶります。
「吉沢さんとは以前から共演したいと思っていたので、この作品でダブル主演できることが本当に嬉しかったです。お互いに刺激し合いながら、二人の役者の関係性を作り上げていきました」と横浜さんは語っています。
二人の天才俳優が描く友情と対立の物語

『国宝』の核心となるのは、吉沢亮さん演じる喜久雄と横浜流星さん演じる俊介の複雑な関係性です。
幼なじみとして固い絆で結ばれながらも、歌舞伎の世界では時に協力し、時にライバルとなる二人。その関係性は、愛と憎しみ、尊敬と嫉妬が入り混じった、極めて人間的な葛藤に満ちています。
特に印象的なのは、二人が初めて舞台で共演するシーン。
女形と立役の息の合った演技は、観客を魅了すると同時に、二人の複雑な感情をも浮き彫りにします。
「横浜さんとの共演シーンは、本当に特別なものでした。彼の俊介への入り込み方に、自分も喜久雄として応えなければと、自然と気持ちが高まりました」と吉沢さん。
一方の横浜さんも「吉沢さんの女形姿を初めて見たときは、本当に息をのみました。あまりの美しさに、俊介として嫉妬すら感じてしまったほどです」と撮影時の心境を明かしています。
黒川想矢が演じる少年・喜久雄の輝き
立花喜久雄の少年期を演じたのは、15歳の新星・黒川想矢さんです。
彼は是枝裕和監督の映画『怪物』で鮮烈な映画デビューを果たし、その演技力で多くの映画ファンを魅了しました。
黒川さんは『怪物』での演技が高く評価され、数々の新人賞を受賞。若干14歳で、日本アカデミー賞新人俳優賞にもノミネートされるという快挙を成し遂げています。
『国宝』での黒川さんの演技は、厳しい環境に置かれながらも芸の道に憧れを抱く少年・喜久雄の複雑な心情を、繊細かつ力強く表現。特に、初めて歌舞伎を目にするシーンでの表情の変化は、言葉なしで少年の内面を雄弁に物語っています。
吉沢亮さんは黒川さんの演技について「あまりの色気に、すごい憂鬱でした(笑)。自分が勝てるのか不安になったくらいです」と絶賛しています。
子役プロフィール
名前:黒川 想矢(くろかわ そうや)。
生年月日:2009年12月5日(2025年時点で15歳)
出身:埼玉県。
所属:舘プロダクション(舘プロ)。
主な出演歴:映画『怪物』などで注目を浴び、以降映画・ドラマで活躍。
『国宝』では主人公・喜久雄の少年期を演じ、鋭い目力と内面表現で評価を得ました。
趣味・特技(報道まとめ):写真や楽器など多彩な側面が紹介されています。
余談・撮影メモ:黒川さんは役づくりのため、歌舞伎や所作の稽古に臨んだとされ、現場での真摯な姿勢が報じられています。
またドラマに出演した際に舘ひろしさんのプロダクションに入ることを熱望して入ったそうです。すごく根性があるんですね。
越山敬達が描く少年・俊介の複雑な心情
横浜流星さん演じる俊介の少年期を担当したのは越山敬達さん(16歳)です。
透明感のある存在感と柔らかな声の響きが特徴的な越山さんは、名家に生まれながらも葛藤を抱える少年・俊介の内面を見事に表現しています。
越山さんは子役として『あさが来た』『おかえりモネ』などのNHK朝ドラにも出演し、着実にキャリアを積み重ねてきました。
『国宝』では初めての映画出演となりますが、その演技は経験豊かな俳優のような深みを感じさせます。
特筆すべきは歌舞伎シーンでの演技力で、吹き替えなしで挑んだその完成度に多くのスタッフが驚嘆したといいます。
横浜流星さんも「越山くんの演技を見て、自分の少年時代を思い出しました。
彼の真摯な姿勢に、自分ももっと頑張らなければと刺激を受けました」と語っています。
子役プロフィール
名前:越山 敬達(こしやま けいたつ)。
生年月日:2009年4月21日(2025年時点で16歳)。
出身:東京都。
所属:スターダストプロモーション(所属ページ/プロフィールあり)。
主な出演歴:幼少期からドラマや映画で活躍。2024年の主演作『ぼくのお日さま』がカンヌの注目部門に選出されるなど評価が高い。
趣味・特技:スキー、スケート、ダンス、けん玉(2段)、書道など多才。
けん玉の有段者ってすごい特技ですよね。
余談・撮影メモ:越山さんも歌舞伎の稽古に入っており、所作や佇まいの習得に力を注いだことがメディアで報じられています。
少年期から大人へ——二組の俳優が描く成長の物語
『国宝』の大きな魅力は、少年期と大人期の対比による物語の重層性にあります。黒川想矢さんと越山敬達さんが演じる少年時代から、吉沢亮さんと横浜流星さんが演じる大人の姿へと成長していく過程が、時代の流れとともに描かれます。
少年期の純粋な友情や憧れが、大人になるにつれてどのように変化していくのか。芸術に生きる者同士の理解と対立、そして「真の国宝」とは何かという問いが、四人の俳優の演技を通して浮かび上がってきます。
特に印象的なのは、少年期の喜久雄と俊介が初めて歌舞伎を共に観るシーンと、大人になった二人が初めて共演するシーンの対比です。
黒川さんと越山さんの無垢な表情と、吉沢さんと横浜さんの複雑な感情が交錯する表情。この対比が、本作の深みを生み出しています。
李相日監督が挑む日本の伝統芸能——『国宝』撮影の舞台裏
『国宝』を手がける李相日(イ・サンイル)監督は、『悪人』『怒り』など数々の話題作を世に送り出してきた実力派監督です。
韓国出身ながら、日本の風土や文化、人間性を深く理解した作品づくりで定評があります。
李監督は本作について「日本の伝統芸能という特殊な世界を描きながらも、そこに普遍的な人間ドラマを見出したかった」と語ります。
撮影では実際の歌舞伎役者を多数起用し、本物の稽古場や劇場でのロケを敢行。その徹底したリアリティへのこだわりは、本作の大きな魅力となっています。
「吉沢さんと横浜さんのキャスティングは、企画当初から決めていました。二人の持つ対照的な魅力が、喜久雄と俊介のキャラクターにぴったりだと感じたんです」と李監督は明かします。
上方歌舞伎の魅力——映画『国宝』で描かれる伝統芸能の世界
映画『国宝』の理解を深めるためには、「上方歌舞伎」について知ることも重要です。
上方歌舞伎とは、関西地方、特に大阪・京都を中心に発展した歌舞伎のことを指します。
江戸歌舞伎(現在の東京を中心とした歌舞伎)とは異なる特色を持ち、より写実的な演技や独特の台詞回しが特徴です。
戦後の混乱期、上方歌舞伎は存続の危機に立たされましたが、多くの名優たちの努力によって伝統は守られてきました。
映画『国宝』は、そんな激動の時代に生きた歌舞伎役者たちの苦悩と情熱を描いています。
映画では実際の上方歌舞伎の演目も再現されており、伝統芸能に詳しくない観客でも楽しめるよう、丁寧な描写がなされています。
特に「壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)」や「義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)」など、名作演目のシーンは圧巻の美しさです。
李相日監督は「上方歌舞伎の独特の美学と、東京の歌舞伎との微妙な違いを映像で表現することにこだわりました」と語っています。
衣装や小道具も実際の歌舞伎で使用されるものを参考に、細部まで丁寧に再現されています。
吉沢亮×横浜流星の相乗効果——魂の共演が生み出す感動
『国宝』最大の見どころは、何と言っても吉沢亮さんと横浜流星さんというトップ俳優二人の共演です。
これまでにない組み合わせのダブル主演が実現したことで、撮影現場では予想以上の化学反応が生まれたといいます。
吉沢さんの持つ繊細さと、横浜さんの持つ力強さ。二人の対照的な魅力が、喜久雄と俊介という二人の歌舞伎役者の関係性を一層引き立てています。
「吉沢さんとは現場で多くを語らずとも、不思議と息が合いました」と横浜さん。
「立ち位置や間の取り方、相手への反応など、言葉にしなくても伝わる部分があって。それが二人の芝居にも表れていると思います」
吉沢さんも「横浜さんの俊介に対する解釈が素晴らしくて、こちらも喜久雄として自然に反応できました。ダ
ブル主演だからこそ生まれる緊張感が、作品に深みを与えていると思います」と語ります。
特に感動的なのは、二人が対立しながらも互いを高め合うシーン。
歌舞伎の舞台上での共演シーンと、舞台裏での激しい口論シーンのコントラストは、見る者の心を揺さぶります。
撮影秘話——吉沢亮と横浜流星が明かす舞台裏エピソード
『国宝』の撮影は、全国各地の歴史ある劇場や街並みで6ヶ月にわたって行われました。
その間、吉沢さんと横浜さんは共に歌舞伎の稽古に励み、時に助け合い、時に競い合いながら撮影を進めたといいます。
「歌舞伎の所作や発声は本当に難しくて、二人で夜遅くまで練習することもありました」と吉沢さん。
「横浜さんは立役としての動きをすぐに身につけていて、その姿勢に刺激を受けました」
一方の横浜さんも「吉沢さんの女形としての美しさは本物です。彼の姿を見て、自分も俊介として負けられないと思いました」と振り返ります。
印象的なエピソードとして、二人が実際の歌舞伎役者と交流する機会も多くあったといいます。
ある名優は「二人の真剣な姿勢に、自分たちも初心に戻る思いがした」と語ったそうです。
また、歌舞伎の衣装は非常に重く、特に吉沢さんが着用した女形の衣装は約20kgにも及んだとか。「最初は立っているだけで大変でしたが、次第に体が慣れていきました。その過程自体が、喜久雄の成長と重なる部分がありました」と吉沢さんは語ります。
子役との絆——四人の俳優が作り上げる時代を超えた物語
『国宝』の撮影現場では、主演の吉沢亮さん、横浜流星さんと、子役の黒川想矢さん、越山敬達さんの間に特別な絆が生まれたといいます。
四人は同じ役を演じる者同士として、多くの時間を共有しました。
「黒川くんとは、喜久雄という人物について何度も話し合いました」と吉沢さん。
「彼の解釈が新鮮で、自分の演技にも取り入れた部分があります。彼の演技を見たときは、あまりの色気に憂鬱になったほどです(笑)」
横浜さんも「越山くんの俊介に対する理解の深さに驚きました。彼が表現する少年期の俊介があってこそ、大人になった俊介の複雑な感情が説得力を持つんだと思います」と子役たちを絶賛しています。
撮影の合間には、四人で歌舞伎の話をすることも多かったといいます。
黒川さんは「吉沢さんから女形の細かい所作について教えていただき、とても勉強になりました」と語り、越山さんも「横浜さんは立役としての気迫の出し方を親身に教えてくれました」と振り返ります。
この四人の俳優が創り出す時代を超えた物語こそが、『国宝』の大きな魅力となっています。
音楽と美術で彩る歌舞伎の世界——『国宝』の映像美
『国宝』の魅力は演技だけではありません。坂本龍一の遺作となった音楽と、緻密に再現された美術も、作品の世界観を豊かに彩っています。
坂本龍一氏は本作の音楽について「伝統と革新が交錯する歌舞伎の世界を、現代的な感覚で表現したかった」と語っていました。
和楽器と西洋楽器を融合させた楽曲は、映画の情感をさらに深めています。
また、美術面では昭和20年代から40年代にかけての大阪や京都の街並みが細部まで再現され、タイムスリップしたかのような没入感を味わえます。特に歌舞伎劇場のセットは、実際の劇場を参考に、専門家の監修のもとで建設されました。
「衣装や小道具、メイクに至るまで、時代考証を徹底しました」と李監督。「吉沢さんと横浜さんが身につける衣装は、実際の歌舞伎衣装を参考に、一針一針手作業で仕上げられています」
映画『国宝』が問いかける”真の芸術とは何か”
『国宝』は単なる歌舞伎映画ではありません。芸術に生きる人間の普遍的なテーマ——才能と努力、伝統と革新、そして「真の国宝とは何か」という問いを、観る者に投げかけています。
吉沢亮さん演じる喜久雄は、生まれながらの才能で女形の頂点を極めていきますが、その過程で多くの葛藤を抱えます。一方、横浜流星さん演じる俊介は、努力と執念で自分の芸を磨き上げていく人物です。
この対照的な二人の人生を通して、芸術における「才能」と「努力」の意味、そして真に人々の心に残る「国宝」とは何かを、映画は静かに問いかけています。
李監督は「この映画を通して、日本の伝統芸能の素晴らしさを伝えたいという思いはもちろんありますが、それ以上に、芸術に魂を捧げる人間の姿を描きたかった」と語ります。「それは国や時代を超えた普遍的なテーマだと思います」
まとめ
2025年に公開予定の映画『国宝』は、吉沢亮さんと横浜流星さんのダブル主演、そして黒川想矢さんと越山敬達さんという才能あふれる子役たちの共演で、日本映画の新たな地平を切り開く作品となりそうです。
伝統芸能・歌舞伎という特殊な世界を舞台にしながらも、そこに描かれるのは極めて普遍的な人間ドラマ。才能と努力、友情と対立、そして芸術に魂を捧げることの美しさと哀しさ。
吉沢亮さんの繊細な女形の演技と、横浜流星さんの力強い立役の演技。そして、二人の少年時代を演じる黒川想矢さんと越山敬達さんの透明感あふれる演技。これら四人の俳優の競演が生み出す化学反応は、観る者の心に深い感動を残すことでしょう。
『国宝』が描くのは、単なる歴史ドラマではなく、現代を生きる私たちにも通じる芸術と人生の物語です。