1975年に『秘密戦隊ゴレンジャー』が放送開始されてから、半世紀にわたって日曜の朝を彩り続けてきたスーパー戦隊シリーズ。
2025年、ついにその歴史が一つの区切りを迎えます。
そして2026年からは、新たなヒーロープロジェクト「PROJECT R.E.D.」が始動することが発表されました。
この大きな転換期を迎えた日本の特撮業界。
今回は、スーパー戦隊の終了と新プロジェクトの始動について、その意義と今後の展望を詳しく解説していきます。
PROJECT R.E.D.とは何か?新時代の特撮ブランド
テレビ朝日が満を持して発表した「PROJECT R.E.D.」は、単なるスーパー戦隊の後継作品ではありません。
これは全く新しいコンセプトに基づいた特撮ヒーローシリーズなのです。
プロジェクト名の「R.E.D.」は「Records of Extraordinary Dimensions(超次元英雄譚)」の頭文字から取られています。
同時に、”RED”という英語が示す通り、「赤いヒーロー」をテーマの中心に据えたブランド展開となっているのが特徴です。
注目すべきは、このプロジェクトが単発の作品ではなく、複数作品のクロスオーバー展開を前提に設計されている点です。
つまり、作品同士が繋がり合い、世界観を立体的に広げていく大型プロジェクトとして構築されているのです。
放送枠については、スーパー戦隊シリーズが長年守り続けてきた日曜朝9時30分からの時間帯がそのまま継承されます。
テレビ朝日の公式サイトでも「2026年、新たな英雄譚が始まる」と明記されており、特撮枠としての伝統は途切れることなく続いていくことになります。
第1弾作品『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』の全貌
PROJECT R.E.D.の記念すべき第1作として選ばれたのが、『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』です。
1982年から1983年にかけて放送され、当時の子どもたちを熱狂させた『宇宙刑事ギャバン』。
その世界観を受け継ぎながらも、完全に新しい視点で再構築された作品として生まれ変わります。
現代社会を反映した世界観
最大の特徴は、AI技術、宇宙探査、民間宇宙事業といった現代のテクノロジーやトレンドを物語に積極的に取り込んでいる点です。
80年代のギャバンが描いた「未来」が、まさに現実のものとなった2020年代。その時代性を作品に反映させることで、懐かしさと新しさの両方を感じられる作品に仕上がっています。
オリジナル版を知る世代には「あの頃に想像していた未来が、今ここにある」という感慨を、若い世代には「最先端技術とヒーローの融合」というフレッシュな驚きを与える構成になっているのです。
ビジュアルデザインの進化
すでに公開されているギャバン・インフィニティのスーツデザインも話題を呼んでいます。
メタリックなボディが赤く光る様子は、オリジナルのギャバンが持っていたスタイリッシュさを継承しながら、現代の映像技術で表現することで、より洗練された印象を与えています。
放送は2026年から毎週日曜9時30分から10時の30分枠で展開される予定です。
なぜ今「赤ヒーロー」なのか?その象徴的意味
PROJECT R.E.D.が「赤」をテーマカラーに選んだことには、深い意味があります。
スーパー戦隊シリーズにおいて、赤は常にリーダーを象徴する色でした。レッドは単なる色の一つではなく、チームの中心であり、正義の象徴でした。
50年間にわたって受け継がれてきたこの「赤の伝統」を、新プロジェクトが引き継いでいくというメッセージが込められているのです。
歴代レッド俳優たちの軌跡
スーパー戦隊シリーズのレッド役を演じた俳優たちの多くが、その後大きな飛躍を遂げてきました。
戦隊レッドという役は、若手俳優にとって一つの登竜門であり、そこから映画やドラマの主演、さらには幅広い活躍へと繋がっていく特別なポジションだったのです。
この「レッドの系譜」という伝統が、PROJECT R.E.D.という新しい形で受け継がれていくんですね。
スーパー戦隊が終わっても、赤ヒーローの物語は続いていく。そんな継承の意志を感じさせるブランディングになっています。
クロスオーバーの可能性
プロジェクトの構想として、将来的なクロスオーバー展開が明言されていることも重要なポイントです。
これは単にギャバンだけの物語ではなく、様々な「赤いヒーロー」たちが集結する可能性を示唆しています。
過去のメタルヒーローシリーズ、歴代戦隊のレッドたち、そして今後生まれる新しいR.E.D.作品のヒーローたち。
それらが一堂に会する展開が実現すれば、特撮ファンにとっては夢のような瞬間となるでしょう。
ファンの反応と業界の展望
この大きな発表に対して、特撮ファンからは様々な声が上がっています。
「スーパー戦隊が終わってしまうのは寂しい」という感傷的な声がある一方で、「ギャバンが復活するのは嬉しい!」という期待の声も多く聞かれます。
50年続いた伝統あるシリーズの終了には複雑な思いを抱きつつも、新しい展開への期待感も大きいというのが、多くのファンの正直な気持ちのようです。
懸念点も存在する
一方で、課題も指摘されています。スーパー戦隊の魅力の一つは「チームヒーロー」という点でした。
複数のヒーローたちが力を合わせて戦う姿は、多くの子どもたちに友情や協力の大切さを教えてきました。
対して宇宙刑事ギャバンは基本的に単体ヒーローです。
この方向性の変化を、戦隊シリーズで育ってきたファンがどう受け入れるのか。また、新しい視聴者層をどれだけ獲得できるのか。
PROJECT R.E.D.の成否を左右する重要なポイントとなるでしょう。
今後の展望と可能性
PROJECT R.E.D.の今後について、いくつかの展開が予想されます。
まず、クロスオーバー展開の実現です。プロジェクト名に込められた「多面的な展開」という言葉通り、ギャバン以外の赤ヒーローシリーズが次々と登場し、それらが交差する物語が描かれる可能性は高いでしょう。
次に、IP(知的財産)としての多角的な展開です。ギャバンというブランドは、玩具やグッズ展開、配信サービスでの過去作品配信、劇場版映画など、様々な形でビジネス展開が可能です。
特撮ジャンル全体をリブランディングする起点となる可能性を秘めています。
俳優のキャスティングにも注目です。新ギャバン役には若手俳優が起用されることが予想されますが、もしかすると歴代戦隊レッド出身の俳優が何らかの形で関わってくるかもしれません。
そうなれば、「赤ヒーローから次のキャリアへ」という流れが新しい形で継承されることになります。
まとめ:終わりは新たな始まり
スーパー戦隊シリーズの終了は、確かに一つの時代の終わりを意味します。しかし同時に、それは新しい時代の始まりでもあるのです。
PROJECT R.E.D.は、単なる後継作品という枠を超えて、新しい特撮ブランドとしての野心的な試みです。
第1弾の『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』は、過去への敬意と未来への挑戦を両立させた象徴的な作品として登場します。
「赤いヒーロー」というテーマに込められた、スーパー戦隊からの伝統の継承。クロスオーバー展開という新しい試み。現代技術を取り入れた世界観。
そして何より、新しい世代のヒーローたちの物語。
2026年、日曜の朝に新しい英雄譚が幕を開けます。
50年間の歴史を胸に、私たちは新しい冒険の始まりを見届けることになるのです。
特撮ファンとして、そして一人の視聴者として、この歴史的な瞬間を一緒に楽しみに待ちましょう。